Vol.5 病名という魔物(プロセス思考と結果思考の違い)|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.5 病名という魔物(プロセス思考と結果思考の違い)

2021年10月14日

「更年期に効く漢方ってあるって聞いたんですけれど。痩せる漢方ってありますか?」よくある質問ですが、この質問への回答は結構大変です。伝統医学的思考では、なぜ更年期症状(ホットフラッシュ?倦怠感?動悸?抑鬱?)に至ったのか、なぜ肥満していてそれによって何が起きているのかが重要なのです。

 

例えば、更年期症状のホットフラッシュであれば、「消化力の低下があって体力が低下気味であるところに、少し無理をしているなどの状況があって、疲れているのに眠れないという状態になってから、症状が酷くなった。」というような背景を知る事が必要となります。このような背景があってのホットフラッシュなのですから、「目下の無理を強いられている状況はいつ解決するのか?当分続くのか?家族の世話に熱心になるあまりに自分の事はそっちのけで、食事も合間でつまみ食いしているうちにお腹が一杯になってしまってろくな物を食べていない。」とか、そのような状況を今後、どのようにしていくのか、自分自身の状況と向き合った上で、今できること、当分解決出来ないことを見極めた後に必要であれば最小限の漢方処方をすることになります。更年期だから桂枝茯苓丸とか加味逍遥散とかそういうことにはなりません。もちろん、閉経前で月経量が多くなり、それによって貧血気味でのぼせているならば桂枝茯苓丸を使う事はありますが、更年期だから桂枝茯苓丸を使うわけではありません。

 

同様に肥満についても、いつもと食べている量が変わらないのに体重が急に増えてきたと言う人は多いですが、大抵の場合、最近身体を動かしていなくて足腰が弱った(基礎代謝が落ちた)、健康の為にと称して果物を積極的に取るようになったというようなことがあります。確かに、某漢方薬(下剤)を使って下痢にしたら一時的に体重は減るかも知れませんが、そのまま使い続ければ体調を崩すのはあたりまえです。日常生活の中で、症状に直結している問題を見いだしてそれに対するアプローチの方が処方より重要ですね。

 

このように、○○にはこの漢方薬!!という言葉には注意して下さい。けしてそれはあなたにとって良い結果をもたらしません。

 

結果思考ではなく「プロセス思考」で健康作りをしましょう。

 

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