Vol.8 身心公式を解説します (身体×心体=行動)|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.8 身心公式を解説します (身体×心体=行動)

2021年11月08日

身体×心体=行動は、(身体×心体というプロセス)=(行動という結果)の公式です。

 

2×2=4、1×4=4、4×1=4、いずれも結果は4となりますが、身体が1なのか2なのか4なのか、心体が1なのか2なのか4なのかでは意味が全く異なります。ひとの精神行動は、その挙動により判断されるので、明らかな器質的異常(胃潰瘍だとか腫瘍があるなど)を伴わずに結果の4が「朝起きられない」「意欲の低下」「だるい」「動悸」「不安」があると、一方的に精神疾患の烙印を押されてしまいます。

しかし、同じ全身倦怠でも、足元が冷えて普段より下痢が多く、食欲の異常亢進もしくは低下があり(つまり食欲が安定しない)、天候悪化とともに全身の「重さ」を強く自覚して起き上がれなくなった身体係数4の場合と、幻聴幻覚があり、幻覚に対応するのが忙しくて精神が消耗して疲労困憊する心体係数4の全身倦怠では全く意味が違うし、そもそも消化力が十分でなくて、作業に平均より時間がかかる傾向があり(身体係数2)、それにイライラした上司から毎日叱責を繰り返されて人格否定されることによって思考が阻害されて(心体係数2)行動が遅くなった結果、全身倦怠になる場合もやはり意味が異なります。それ故、それぞれのひとが、どのような身体×心体プロセスを経て、行動という結果に至っているかを正確に把握することは、治療の上では重要となってきます。

現代社会は、「結果」を重視する社会ですよね。「途中経過はどうでも良いから、結果を出せ。」という傾向が強くなっています。この傾向は研究やビジネスのみならず、生活全般、隅々まで影響を及ぼしていて、その結果、身体と心体によって引き起こされる事象の解釈までもが影響を受けています。

しかし、ひとりひとりが、そのひとらしく生きていく為には、それぞれの「プロセス」が重要で、たとえ結果が同じでも、そのプロセスは十人十色であり、重視されねばならなりません。そして、そのひとのプロセスを無視することことから、人格否定が生まれます。

心療内科に来る方々をみていますと、過半数は身体係数>心体係数のひとです。そしてその殆どは、自らの身体ケアについて無知であるがゆえの不養生に陥っていて、不養生による体調不良が行動異常の原因となっていることが多いです。このようなひとに対しての精神治療は無効であるばかりか、害を及ぼすこともあります。身体>心体によって抑鬱状態にあるひとは、「精神病(古典的精神疾患)ではない」からです。そして精神病で無いならば、精神治療薬は不要です。

当院では診察に当たって、身体と心体の状態をきちんと観察して判断し、適切な介入を心掛けています。身体に起因する症状は、養生をしっかり守れば良くなります。しかし、身体の不調に隠れて精神の問題が見えなくなって居ることもありますから、身体を整えることを最優先しながらも、心の評価を行っています。

 

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