Vol.11 「処方が合わない?」(冷えの中の熱の話)|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.11 「処方が合わない?」(冷えの中の熱の話)

2021年12月20日

はじめに

「急に冬になって寒くなりました。足湯をしっかりしましょう。そして胃腸の冷えをとり温める為に大建中湯を出しておきますね。」と処方してお帰り頂いた患者さんが、次の時に「あの処方、合わない気がするんです。」とのこと。詳しく事情を聞いてみると、最初のうち暫くは調子がよかったのに、急に内服すると胃が痛むようになったとのこと。そうこうしているうちに、足湯しても頭痛がするようにもなり、おかしいと思って大建中湯を止めたところ不調は戻らず、まだ胃が重いということでした。

 

いったい何が起きたのでしょうか?

 

参考図1をご覧下さい。真ん中左側に腸の模式図があります。足元が冷える事で直接腸が冷やされます。その結果、消化力が低下して「気力」「体力」が低下します。これが、11月後半からの眠気の原因となっています。そこで足湯をいつもより入念にしていただく事になるのですが(足湯の正しいやり方は図3)、元々冷えが強い方はそれだけは十分ではないので「大建中湯」を処方します。そうすることで、冷えた腸は温められて消化力が回復してきます。消化力が回復することで激しい眠気や寝汗は軽減してきます。この状態が続けばよいのですが、12月に入り、更に寒さが強くなりました。同時に、クリスマスが近づいて甘い物の誘惑や飲酒の誘惑が増え、また、人と会って外食する機会が増えてきます。元々消化力に余力が無かったところに負荷がかかることで、局所的に動きが悪くなる場所(図1a:みずおち付近)が出て来ます。これにより胃の周辺が痛みます。しかし、痛みはあるものの食事は取れるのでしっかり食べているとなかなか良くなりません。この状態を「胃熱」と漢方では呼んでいますが、このとき腸全体で見れば、冷えているのに局所的に熱を持つという複雑な状態となっています。この「胃熱」により身体的には口内炎、ニキビ、頭痛、腹痛、下痢、心体的にはイライラ、怒り、不安、焦燥感が出て来ます。このような症状が出た時、腸を温める作用のある「大建中湯」は一時的に合わなくなるのです。

 

質問:このようなときどうすれば良いのでしょうか?

 

答え:食べる量を減らして、数日様子をみる。

 

一時的な事ですので、少し胃腸の中を空にして様子を見ていれば数日で症状は改善します。この間、大建中湯は中止していて下さい。しかし、腸全体の動きは落ちていますので、急に食事を戻すとまた症状がぶり返します。足湯を続けながら、自分自身の身体の観察を続けて下さい。

もし、食事を減らしても症状が改善しない場合は、受診をお願いします、半夏瀉心湯のような過食時に使う処方を一時的に内服することで症状が改善します。

 

少し詳しく

 

図1bをご覧下さい。身体全体としては「冷え」ていますが、局所的に「熱」があってそれが、口内炎などの身体症状やイライラ、不安、焦燥感などの心体症状を引き起こしていますが、局所の熱を今述べたような方法で除去すれば、症状は解除され、再び、「冷え」の状態に戻ります。身体全体としては「大建中湯」が適切な状況には変わらないので、症状が消失したら大建中湯に戻して下さい。

 

冬の過ごし方

最後に、12月から1月にかけての過ごし方のコツをお伝えしておきますね。図2の「季節に素直に生きよう」をご覧下さい。冬至は一年でいちばん昼が短い日ですね。冬至まで陽気(元気)はおちていきます。そして冬至を過ぎると陽気は増してきますが、気温は少し送れて「大寒」を向かえます。立春に向けて少しずつエンジンを始動しましょう。焦って色んな事に手をつけると春にガス欠を起こします。春によいスタートを切るため、1月はじっくり気力を蓄える時期と心得て、足元を温めながら、食事は少なめに取りながら過ごして下さい。

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