Vol.21  エッセイ 「神経線維は意志を持って伸びている」                     (不都合なことを通して自分を知る)|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.21  エッセイ 「神経線維は意志を持って伸びている」                     (不都合なことを通して自分を知る)

2022年05月17日

「神経線維は意志を持って伸びている」(不都合なことを通して自分を知る)

 

きっかけ

「実は心房細動を起こしていて、先日、循環器内科を受診したらドクターがしきりに『アブリマショウ!あぶりましょう!』って言うんですよ。怪しく感じて、『何を炙るんですか?』って聞いたら、『心臓の異常な神経を焼くことをアビュレーションするという』のですって。」

とそのひとは言った。このひと、とある外資系の会社に勤めていて業績に対する強いプレッシャーに耐えきれずに身心の調子を崩し、休職を余儀なくされたことがある方なのだった。その後、自分との向き合い、体を鍛え、現在は体調が安定しているところだったのだけれども、去年の検診から心電図の異常を指摘されての話であった。

 

心房細動の背景

さて、心房細動。心臓に電気信号を伝える神経線維が「異常に延びること」でリズムが乱れることが心房細動の原因となっているので、その線維を焼いてしまうのが治療になっているのだが、畑を耕しながら芽を出した稲の小さな苗をひとつひとつ植えていく(畑で稲が育つんですよ。)作業をしていたとき、その根っこをひとつひとつ見ながらふと気がついた。「異常な神経線維は焼いてしまえ」って言う事が治療になっているけれども、この神経線維達ってこの稲の根っこと同じじゃないの!?稲の根っこは、水を求めて土の中を下に向かう。それは水を吸収できるように広がれ−って指示が出ているからだ。では、心臓の神経線維はどう言うことなんだろうか?仕事のプレッシャーが強くかかる中、集中して仕事をするために神経を張り詰める。その集中力を維持する為に、血圧を上昇させて、心臓にしっかり働いてくれよと脳からホルモンが分泌されて心臓に伝言を伝える。その伝言を受けて心臓の神経線維は、植物が根を伸ばすが如くに線維をのばしていくのではないかな?そうなると、目下起きている心房細動を止めるには、伸びてきた神経線維を焼き切る意味はもちろんあるけれども、心臓にもっと働いてちょうだい!ってお願いホルモンを出している事の方が、本丸になる。

 

心穏やかに、身体の声を聞きながら生活をするっていうのは、こう言う自分の身体の中の細胞同士の会話に耳を傾けることでもあるのだろうな。「病気」の原因を医学の世界ではその不具合がある場所の、特定の細胞に目を向けて理解しようとするが、本当の原因はそこにはない。身体の中に起きた事件は、あくまでも結果であり、その結果に至るまでのプロセスを丁寧に追うと見えてくるものは、その人の生き方であり、生活そのものであったりする。

最後に

自然と人間の関係も、人間の細胞と細胞の関係も結局は同じ構造を持っている。自分の身体の中で紛争が起きていませんか?痛みを感じたとき、無条件にそれを「悪」としていませんか?あらゆる現象をプロセスを経た「結果」と見たとき、今の自分にとって不都合な事は、自分にとって大事な気付きのきっかけとなっていること、じっくり観察をし、身体を感じてみましょう。そして自然を感じてみましょう。

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