院長ブログ
Vol.29 新型コロナ後遺症の治療
2022年08月27日
新型コロナウイルス感染により消化力が低下する
あまり報道されていない事ですが、実は新型コロナウイルス感染症により、胃腸の消化力が著しく低下します。感染初期に舌を鏡でみると白い苔が厚く付いていることに気がつきます。これは消化力が低下し、漢方で言う「痰飲」という未消化物が増えたことによって起きる現象です。消化力が低下すると言う事は、消化吸収が低下して、エネルギーが十分に供給されないことを意味します。故に、体力のない老人や基礎疾患を持った人ほど、重症化しやすいと漢方では考えます。それゆえ、最も効果的な新型コロナウイルス予防法は、「早く寝る」「少なく食べる」「しっかり体を動かす」という基本的な養生を守る事であると言えるでしょう。
新型コロナ後遺症が引き起こされる理由について
新型コロナウイルス感染症は、消化力を著しく傷めます。そして消化力が落ちることによって、髪に栄養が回らなくなれば脱毛し、活動エネルギーが低下すれば抑鬱になり、朝起きるのが辛くなります。食べた物がしっかりと栄養にならないため、日に日に消耗することにより、眩暈や頭痛になりやすく、午後になると熱っぽくなったり、実際に微熱がでたり、蕁麻疹が出たりすることもあります。これを漢方では「虚労病」と言い、夕方に微熱が出ることを潮熱と呼んでいます。このように消化力低下が引き金となって新型コロナ後遺症が引き起こされるのです。
消化力を元に戻し、後遺症から早く立ち直るために必要なこと
では、何に気をつけ、どうすれば後遺症を脱することが出来るのでしょうか。それには、胃腸をしっかり休ませ、消化機能を元に戻していく必要があります。「しっかり食べて体を治そう!」って考える人は多いですよね?でも、消化力が落ちているときにしっかり食べてしまうと、かえって消化機能に負担がかかり、回復を遅らせてしまうことになります。だから、解熱後、少しずつ食欲が戻ってきても、1週間はお粥を中心として消化に優しいものを食べるよう心掛ける必要があります。その上で、漢方治療になるのですが、巷に流れる怪しい漢方薬情報によると「補中益気湯」「十全大補湯」「加味帰脾湯」などの処方が良いとされたりしていますが、これらの処方は消化には重く、かえって悪くしてしまうことすらあります。むしろ、胃腸のつまりを取る「木防已湯」や体にのこる鬱熱を取り除くための「柴胡桂枝湯」などの処方と組み合わせて「真武湯」「茯苓飲」などの胃腸機能を整える処方をつかって消化機能を上げていくことが大事になります。消化機能さえ元にもどれば、自力で十分な栄養を取ることができるようになり、気力が回復して倦怠感は無くなり、抑鬱気分も改善します。脱毛した髪が再び生えてくるには月単位の時間が必要ですが、必ず元にもどります。
一にも二にも消化力
新型コロナウイルス感染症後遺症の改善には「消化機能回復」の視点が必須です。これを無視した治療や無視した食事は、症状を長引かせ、下手をするとお固定化させてしまいます。後遺症かな?と思った時には、まず、食事を見直し、適切な治療を受けるようにして下さいね。
新型コロナ後遺症、治療の実際についてはこちら
https://www.longwood-senshu-cl.com/blog/entry695.html