院長ブログ
Vol.31 頭皮は畑（脱毛の治療）
2022年09月30日
頭皮は畑、毛髪は畑に生える野菜である
コロナ感染後の脱毛後遺症で来院する人を観察していてふと頭に浮かんだ言葉です。脱毛については様々な治療、施術、裏技、サプリが氾濫していますが、植物が生えなくなった畑と頭皮を例えてみると意味が分かります。白髪も基本は同じで、畑の草が黄色く変色したり、順調に育たなくなったとイメージすると状況が説明しやすくなります。
脱毛、白髪の仕組み（俯瞰的視野からの説明）
畑に水が無く、栄養が少なければ、野菜は実をつけません。では、肥料をたっぷりやれば良いかと言えば、それも違う。肥料を入れすぎた場所は富栄養でやはり作物は実りません。水もやり過ぎては根が腐ります。気にして甘やかしても野菜は強く育ちませんし、反対に虐めすぎてもダメです。同じように、毛髪も胃腸機能（消化力）が低下して、頭皮に栄養が回らなくなると（体には優先順位があります。生きて行く上で優先順位の高いところから栄養を分配していきます。毛髪の優先順位ははっきり言って低い。だから、逆に調子が落ちてくると、髪の毛がパサパサになったり、変化が見えやすいのです。毒ガス検知にカナリアを使うように、体の栄養に関する異変に反応し易いのは髪の毛の質でもあります。）消化力低下以外にも頭皮に栄養が回らなくなる局面があります。それは緊張を強いられる環境下にいるときです。精神的戦闘状態が始まると、血圧を上げて、意識レベルを上げ、外からの侵入を防ぐために皮膚を引き締めて穴を閉じる作業をします。その時、他の体幹の皮膚と同様、頭皮も身体の中でいちばん外に接している場所なので、身体的非常事態宣言が出されると、穴を閉じ、皮膚を硬くして防御態勢に入ります。この時、血液の循環が局所的に悪くなりますから、やはり毛根の血流は減り、脱毛、白髪の原因をつくります。
武装解除と平和な暮らし
では、毛髪が生え、白髪が消えるにはどう言う条件が必要になるのでしょうか。乾燥した痩せた大地のまま何年も放置すると、もう、土を入れ替えるしか方法は無くなります。これはもはや、皮膚移植ですね。でも、もう少し前の段階で気がつくことが出来れば、土地に水を廻らし、適切な栄養を回して畑を復活させることが出来ます。それは、まず武装解除から始まります。安心、安全でなければ、落ち着いて毛髪も伸びてくることが出来ません。これは余談になりますが、数年前から部屋にいる観葉植物の「ゴムの木」があるのですが。新芽の部分が「かさぶた」のようになっていて新しい葉っぱがでなくなっていて、もう葉っぱは出て来ないのかなと思っていたのですが、今年、外の日差しにあてて、毎日、ちょっとずつ水をあげていたところ、なんと1ヶ月した頃ぐらいから「かさぶた」がぽろっ、ぽろっと取れ始めて、葉っぱが沢山顔を出してきたのです。しばらくの間、休眠していたのですね。でも、環境が整うと、元気なみずみずしい葉を何枚も出してくれて嬉しく思い、毎日、声をかけてあげてます。
さて、脱毛に対して、頭皮の血流を増やす刺激のある塗り薬を使ったり、叩いて刺激をしたり、サプリを飲んだりする治療法、施術法があったりしますが、これらは畑に対して、栄養剤を撒いたり、土地にレーザー刺激を与えたり、特殊な薬剤を与えたりするような事に似ています。一時的に野菜は生長するかも知れませんが、長期的にみてどうなのでしょうね？「胃腸機能を整えて毛髪を黒くする」、とか、「自分自身を「恕す」（受け入れゆるす）ことにより髪を再生する」という話は聞いたことがありません。でも、根本的に髪を整えたいと思うならば、それはとても大切なことなのです。
自分はどうありたいのか？
安心安全な空間を自らの中に得て、ゆっくり味わって食事を頂き、食後に満たされた気持ちになった時、あなたはどうしたいと思うようになっているでしょうか。
矛盾したように聞こえますが、脱毛を治したい！と始めた、行動変容で「心の安らぎと体の安らぎ」を得たとき、あなたの脱毛を治したいというその気持ちはどうなっているでしょう？そのままですか？それとも、もはや脱毛した頭皮にも愛情を持つようになって居る？そう、追い求めている時には手に入らず、手放したときに毛がふさふさと生えてくる、そういう問題って実は、あちこちにあるのです。「追うものはそれを得ず、離すものについてくる」これも、世の道理の現れ、かな。
