Vol.34 冬の寒さで心も冷える|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.34 冬の寒さで心も冷える

2022年12月28日

「寒い!」

急に寒くなりました。今年は10月にも一度、急に寒くなって影響を受けた人が多かったですが、12月後半に入ってからの急激な寒波により、体調を落とす人が増えています。今回は、「寒さ」がどのような影響を私たちに与えるのかについて解説したいと思います。

 

「寒い=普段より多く体を温める必要がある」

 

文字にするとごく当たり前のことですが、この当たり前が様々な影響を体に与えます。体の保温は物理法則に従いますから、いつもより多く体を温めるには、多くのエネルギーを必要とします。そしてそのエネルギーはどこからやって来ますか?

 

漢方の世界では「脾胃」といって食物を消化することからエネルギーを得るとしています。普段から胃腸機能が順調で消化力に余裕がある方は問題ありませんが、余裕がない人はどこからか「熱」を借りてこなくてはなりません。まず最初は、ストックを燃やすために普段より集中力を高めて骨格筋を細かく動かし(自覚できるくらいになると震えになる)体温を上昇させようとします。一方、その分だけ気力体力を消耗しますので、普段より気分は落ちてやる気は低下します。気力だけで体の保温が追いつかないときには、体が冷えます。体の中心部から遠い末梢の血流が低下してしもやけになり、耳が冷えたら頭痛になり、腰が冷えたら腰痛、足下の冷えが内臓に伝播したら腹痛、月経痛となっていく訳ですね。このように、精神活動に振り向けられるエネルギーが体に取られて減少するのに加えて、体が十分温められないことで前述の通り体に不調が生じ、余裕がなくなることによって、心にも体と同様に余裕がなくなります。この事により、一見、精神症状(パニック発作や不安症状、抑鬱状態)が悪化した様に見えるのです。(正確に言うと、体が不調だよ!というサインを体側が出すと、それをキャッチした心は、漠然とした不安感としてそれを受け止めます。正体不明の不安感は、実は自らの体から発せられていることが多いのです。「灯台もと暗し」ですね。)

 

さて、このような場合、どうすれば良いのでしょうか。消化力の安定には日頃の養生が必要で、体温を上げるのに必要な筋力強化は年間を通じて体をしっかり動かすことによって得られます。しかし、今のいま、体が冷えているときには間に合いませんよね。そのときには、外から熱を補うこと、体から熱を逃がさない工夫をすること、この2点が大事になります。

 

 熱を外から補う

●「足湯」は絶大な効果を発揮します。毎度足湯を強調して申し訳ありませんが、これはとても大切です。温度を43度ぐらいにして、膝から下をお湯につけて、じわっと汗がでるまで温まってください。可能ならば朝夕の二回できると良いですね。●その他、「温灸」も有効です。玄米:米ぬか:粗塩=2:2:1の比率で配合して布袋にいれて閉じます。(販売もしていますので、案内をご覧ください。)レンジで1分半ほど温めて使用します。●布団乾燥機を使うのも良いですね。寝床を温かくする事は重要です。なにより布団乾燥機をかけるとお布団が軽くなりますよね。重い布団がのしかかるだけで夢見が悪くなりますから、布団を乾燥すること、大事です。電気毛布も悪くはありませんが、寝ている間中ずっと通電していることで、電磁波の影響を受けるからなのか、やや心がざわざわします。低温火傷に気をつけながら湯たんぽを使うのも良いでしょう。●それから、保温と同時に大事な事は冷やさないことです。足元の保温と外出時の耳の保温にも気をつけましょう。冬山用の靴下などは良いですね。外に出るときにはニット帽や耳当てを使いましょう。

 

春の兆し

今回は少し悲観的な口調になってしまいましたが、良い兆しもあります。冬至を過ぎましたので、昼の長さは日一日と伸びていきます。この事は、心に対しても活力を与えてくれます。成人式の頃には春の兆しを感じる事でしょう。あとしばらく、体を温めながら、体調が好転してくるのを待ちましょう。

 

温灸の入手先

泉州統合クリニックで販売しておりますが、遠方の方は直接、作業所にお問い合わせ下さい。

温灸についてちらしえごのみ版

 

 

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