Vol.1 新型コロナと兵法(風邪に栄養は不要?)|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.1 新型コロナと兵法(風邪に栄養は不要?)

2021年08月30日

院長の中田です。

新型コロナウイルス感染症の第五波が都市部を中心に押し寄せてきて不安に思う人も多いかと思います。多くの情報が世の中を飛び交っている割には、大事なことが抜け落ちていると思いましたので、少しお話しさせて頂こうと思います。

 

風邪を引いたら、早く治るために「しっかり栄養を取らないといけない!しっかり食べなきゃ治らない!」と信じている人、いませんか?食欲が落ちてぐったりしている病人をみたら、「食べなきゃ治らないから無理にでも食べなきゃ!」って励ましている人はいませんか?これ、伝統医学の考えから言うと、「バツ!」なのです。そもそも消化力が低下し、食欲がなくなっているとき、消化力以上の食物が胃腸に投入されても十分に消化されません。つまり栄養にならないばかりか、腸に無駄な負担をかけることになります。

 

このことは、城に例えると良くわかります。

 

城壁の外に敵が大勢攻めてきていて、こちらは全兵力で城壁の内側から応戦しているところに、厨房から前線に連絡がはいって、厨房を支援するようにと指令が入りました。「こんな時に、よりによって何人もの兵隊を厨房支援に投入するなんて一体何を考えて居るんだ!」と、首をかしげながら厨房に入ると、「これを食べて元気を付けて戦に勝つんだ!」と料理長は気合いを入れ、手のこんだ料理を何品も準備しようとしています。「こんなもの前線で食べてる余裕無いぞ!そもそも、今、こんな物を食べてる場合かよ!おにぎりで十分だ。早く前線に帰らないと城が落とされる!!厨房を手伝ってる場合じゃない、前線に戻るぞ!」と兵士は叫びました。

 

皆さんはどう想われますか?新型コロナに罹患して発熱しているとしたら、まず、ウイルスを排除する為に自分自身の免疫力を最大限発動して対抗しなくてはなりません。そんなときに、がっつりトンカツを食べ、エビフライを食べている場合じゃないですよね?いくさには原則があるのです。それは「戦力の集中」。病気をしているときには、ウイルスと戦いに戦力を集中せねばなりません。

 

じゃあ、何を食べたらいいの?となると思いますが、「お粥にお水たっぷり、ちょっと多目の梅干し」で十分です。病院で点滴をしたことがある人も多いと思いますが、点滴の中身って知ってますか?「塩水と糖分」です。皆さんが備蓄してるかも知れない、スポーツ飲料も基本的には食塩水に糖が入った物です。「お粥に梅干し」と基本的には変わりません。スポーツ飲料は概ね、塩濃度が0.1%、糖質を5%程度含んだ飲み物です。ざっくり言って、「お茶碗に一杯のご飯+塩分濃いめの梅干しを3〜5つ+水1リットル」を火にかけて米がどろどろになるくらいにして、底に沈んだお粥を食し、上澄のおもゆにて水分摂取する、これを一日2回つくって水分摂取、カロリー摂取をする、そんなイメージで良いです。1週間程度の療養期間なら塩と水と糖があれば栄養素のバランスを考える必要はありません。

 

病気になったらワンちゃんも、ねこちゃんも、食べなくなりますよね。身体の底力を発揮するためには、食べ過ぎは禁物です。風邪を引いたら、余分な体力消耗を避けて、食事は軽く、睡眠を十分に取る。携帯等での情報収集は最小限にして基本的には開かない。そのようにお過ごし下さい。

 

一覧に戻る